華という単純なようで奥深い様々な怪奇な世界。
中川幸夫先生は、本当に観えない尽力をしてきた人なのである。
出会うこと27歳のときだったが、私にとってどれだけ偉大だったかは、まったくといっていいほど何も知らなかったうちに、お会いできた。
求龍堂の太田一貴さんのご紹介によるものだった。
いろんなカタチに対して、私なりに思っていたことがあったが、先生に出会うことによって、まさに決められた方向、運命に向かって走ることになった。
新宿の喫茶タローで待ち合わせをして、お会いした。
この時より、私の人生は逆転的なスパイラルをすることになった。
私の作品について、考え、芸術界の行く先など、本当の沢山の話をしてくれた。
今思えば、なぜ私に?と思っていた自分が、今はよく理解し先生の遺言といえることを、後になって言葉としていただいたことは、運命の雷(いかずち)だった。
夕方遅くになり先生も帰るというので、見送ろうとすると、「君、時間があったら私のお家に来なさいよ」
その簡単なのに、重い言葉になるとは、その当時の私はまったく想像していなかった。
先生とは、今までの出会えた中で、一番不思議な存在になった。
今でもそれは変わらない。
この本も、そのご自宅で先生から二冊もらった。
にこやかにこう話していた。
「織部賞もらったんだよ。私の作品見て、田中一光さんが「これだ!」って言う一言で、満場一致で決めていただいたんだよ」
それから、もう10年が来ようとしている。
中川幸夫先生は、今現在も生きている。
だがしかし、創造者として、華を持って戦う先生はもういない。
先生が私に残してくれた言葉は、今も大事にこの心の奥底に秘めている。
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