2006年4月
この地に降り立ち、本来ある焼物や芸術を製作するために、この能登半島・輪島にやってきました。春先より、輪島近郊の陶土を掘り当て一年がかりでやっと、安定した美しい滑らかな焼き物が誕生しました。陶土は、近世まれに見ないほど「たおやかな肌合いを持つ焼き物」という物が、出来上がりました。この輪島に塗り物だけではなく、焼物文化を発掘したということが、最近になってはっきりと現れるようになりました。試験焼成は、三井町の炭、電気窯、登り窯などで行われてきました。特に洲衛窯の窯跡付近より出てきた陶土が非常にいい感じで焼け上がり、また繊細な表情を見せることを発見できることができました。たくさんの人たちに見せるために三井町で行われた健康の森・文化講演会でお披露目をさせて頂きました。どのかたも一様に驚いたようでした。やはり、焼物は本当に人の心を動かします。嘘ではなく、すべてが本当にある本物なので、これからもっと皆様に見ていただき、なおかつ今年は使っていただけるようにするため、現在製作準備に入っております。陶土の主成分は、耐火度も益子、備前、笠間のように低く、加賀地方の陶土とは一味違ったものであります。おもに、輪島の山中辺りには魅力のあるものと思われます。先日、珠洲焼の河ヶ谷窯跡にも行ってましたが、これがまた私たちが製作中の窯の構造に似ていましたし、三井町洲衛窯の12世紀ごろのタイプに似せて考えておりましたので、まさに偶然の一致となりました。当然ではありますが、能登半島における歴史から考えておくと、この半島全域に陶土があると言うことになります。これは、後に発表させていただくことといたします。日本における窯業地としては珠洲焼の歴史が基本ではありますが、輪島のこの素晴らしい自然と輪島塗、そして神社仏閣。なんともいえません。南惣美術館においては、歴史観のある深くて偉大な作品に勉強をさせていただいています。その中でも、光悦の茶碗は最高ですね。一服いただきたいと思うような口造りになっています。輪島焼は庶民のためのいい器を作っていこうと考えております。歴史の古いこの輪島より、輪島塗とはまた一味違う「心休まる陶器」を作って行きたいと思っております。
だから、珠洲焼とは一味違う何かが生まれてくる予感がしてならない。
だから、輪島焼。
輪島の陶土は、まさに「生娘の純朴な心に似た土」と絶賛していますので、早い時期に公開したいと思っております。「能登はやさしや 土までも」これを第一章とさせていただきたいと思っております。
written by 東龍
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